石について
石。鉱石。
どちらかというと後者であるが、ここ数年傾倒しているもののひとつである。
最近、近場の書店で鉱石のフェアのような、とりあえずそういう感じのものが開催されていたものだから、勢いで霰石とクォーツと天青石の標本をお迎えした。本当にかわいらしい。
そのテンションで話していたが、石に対して「かわいい」と思うのはもしや独特なのか? と思ったので一筆したためることにした。
まず、鉱石というものにはまった原因について。
一言でいえば、市川春子先生の『宝石の国』である。
高校生の時にアニメ化され、そこから原作漫画の方にもはまった。
一つの作品にはまるとその作品に出てくるキャラクターのことまで詳細に知ろうとする癖があり、宝石の国でも見事にその癖が出た。
もとは出てくるキャラクターたちの元ネタとなった鉱石について調べるだけで満足していた。そこから発展して蛍石などの他の鉱石の写真なども見るようになるまで、時間はかからなかった。当時はまだ鉱石のことを「綺麗」という言葉で形容していた。
しかしあるとき、ミネラルショーが高校の近辺の建物で開催されるということを知った。
当時、散財するような他の趣味も特に見当たらず、食費として渡されていた小遣いも余っており、そりゃもう「行こう」と思うには十分だった。結局行った。
そこで色々見て回っているときである。ミネラルショーという場に行くにしては少ない財布の中身を握り締めて(比喩)、一つくらい母岩付きの標本が欲しいなと思って見て回っていた。
目を引いたのは、紫色の蛍石だった。
小さなものであったが、一部一部が正八面体のような様相を呈し、なおかつ複数の結晶が連なっている形で、母岩にちょんと乗った結晶があった。値段は4500円。
可愛い、と、石に対して初めて思った。
そこから、鉱石に対して可愛いと思うようになった、と思う。
青い石が欲しいと思っていたので同会場でブルーカルセドニーの原石標本も買った。
見て回るうちに見つけた五百円で一度回せるガチャガチャで、シトリンとブラックスターサファイアのルースも当てた。スターサファイア(コランダム類にルチルがインクルされたもの)という鉱石に対しては、高価とはわかっていながらも憧れのような感情を抱いていたので、本当にうれしかった。今もよく保管している引き出しから取り出して光を当てては眺めている。
その後も、ご時世がこのようになってしまう前に県外へ一度行った分も含めて二度、ミネラルショーという場に赴いた。
そこでお迎えしたのはアポフィライトの母岩付き標本、加工済みのアンバーのストラップ二つ、オパールの原石である。
オパールの原石は多少ヤスリで研磨して、光を当てるときらきら光るようにしてある。好きなキャラクターの目のことを宝石に例えるオタクの気持ちが本当にわかった気がした。
そしてつい最近。
鉱石に対して、「美味しそう」という言葉を使って褒めるようにもなった。
理由はとあるカフェのメニューが鉱石を模したもので構成されているのを見たから。だと思う。
兎に角、きらきらと光る結晶が、特に群晶と呼ばれるものが、「おいしそう」と思えたのだ。
家の近くの書店でお迎えした群晶が三つある。
お迎えした順に、アメジスト、クォーツ、天青石である。
どれも一つ一つの結晶がきらきらと光り、小さい結晶から大きめの結晶までがそれぞれひしめき合って主張する。
複数ある物のうちから「この子にしよう」と選んだ理由は、「美味しそうだったから」「可愛かったから」の二択である。
今では海辺で拾ってきて磨いた貝殻などと一緒に引き出しに保管されている。
なんだか途中から何を言いたいのかブレてきたのでこのあたりでやめようと思う。
とりあえず言いたいことは、「鉱石は可愛い」ということである。
少しでもこの感覚が伝わればいいなと思いつつ、この記事をしめる。
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